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遠江の動乱、政重さまの父・井上清秀さま

  • ryokurinken
  • 2017年1月7日
  • 読了時間: 3分

 井上清兵衛(後の政重さま)の父上、井上清秀(天文2年・1533~慶長9年・1604)は、最初は織田家の武将、佐久間信盛さまに仕えたお侍でございます。これは想像なのですが、先代の主君でありました松平清康さまを刺し殺してしまった男の弟であったがゆえ、松平家中では、何かしら憚るものがあったのかもしれませぬ。

 織田家と松平家が共同作戦を取るようになったのが永禄4年(1561)以降のことでございます。井上清秀さまが28歳の頃からでございますから、政重さまの父上は働き盛りのお侍であります。織田家の佐久間信盛さま配下というのも、他国ゆえかえって気が楽だったのかも。いずれにせよ、織田家と松平家の間を繋ぐような人物の一人だったと考えられるのでございます。

 天正4年(1576)、佐久間信盛さまは信長さまの命を受けて一向一揆と戦うため、大阪・天王寺に出兵いたします。この中に当時43歳の井上清秀さまもおられたようですが、家康さまが信長さまに援軍を頼んできたため、急遽家康さまの配下に戻ることになったのでございます。

 そして清秀さまは、遠江の馬伏塚城(現在の静岡県袋井市浅名)に天正2年(1574)頃から入っていた大須賀康高の配下となられました。これは武田氏が押さえていた高天神城を攻め取るための人事異動でありました。また清秀さまの父上、つまり政重さまの祖父の井上清宗さまは67歳の古参の侍か、あるいは第一線からは引いていたかもしれませぬ。

 高天神城は、東海道を一望のもとに見下ろし、また遠州灘も遠くまで見下ろせる眺望のよい山城でございます。実際に私も鈴木氏と共に山上にまで登りましたが、急斜面の山城特有の攻めにくさ、水の補給の難しさゆえ、城兵にとっても、攻める側にとっても、激しい戦になったことは容易に想像できるところでございました。

城跡にあった想像図によれば、本丸と西の丸をつなぐ尾根の低いところに、井戸曲輪が設けられておりまして、そこから水を補給していたようでございます。ここが高天神城の兵站から見た弱点であったかと思われるのでございます。

 天正8年(1580)9月、家康さまは広く周囲に6カ所もの拠点を築いた上で、いよいよ高天神城の攻撃を開始いたします。翌天正9年(1581)3月、長期の兵糧攻めに苦しんだ高天神城はついに落城と相成るのでございました。高天神城を救援できなかった武田氏の武威はここに失墜いたしまして、翌天正10年(1582)3月、武田勝頼は天目山で自害に追い込まれ、甲斐の覇者、武田家は滅び去ったのでございます。

 武田氏滅亡後、大須賀康高さまは真っ先に甲府に乗り込み、甲斐を家康さまに服属させまする。おそらくそこに井上清宗さま、清秀さまの姿があったか、あるいは横須賀城に留守居役だったか、確かな記録は見つけられませんでした。

 ひとまず遠江に落ち着きが戻り、人々の気持ちがやや鎮まった時の中、天正13年(1585)、井上清兵衛、後の筑後守政重さまは生まれ、育っていったのでございます。

 
 
 

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